僕が宮澤賢治の物語をちゃんと読みはじめたのは、じつはわりと最近の事で、2007年の年明けごろだったと思います。
きっかけがなんだったのかは忘れてしまいましたが、最初に読んだのは「双子の星」というお話でした。その時の感動というか感銘というか、とにかくもの凄く興奮した事はいまだによく覚えています。それからというもの、完璧に、どっぷりと宮澤賢治の世界にハマってしまいました。

その時からたぶん、このIHATOVOという本の構想は始まっていたのだと思います。読めば読むほどに、イメージに潜れば潜るほどに、新しい閃きや懐かしい感覚が頭の中に入ってきて、まるで乾いた脳みそがイメージという潤いをゴクゴク飲み干すように読みこんでいくうちに、それをひとつひとつ頭から出して、絵という形あるものに表現せずにはいられない気持ちになりました。

僕の中にあったひとつのその密かな思いが、今回たくさんの方々のご協力のもとに実り、1册の本になった事がとても嬉しいですし、僕はほんとに恵まれているなあと感謝の気持ちでいっぱいです。あともう少しだけ欲張れるのなら、この本がより多くのお茶の間に届く事、そしてこの本が宮澤賢治の世界に触れる誰かのきっかけになってくれる事を祈っています。

本書のタイトルである「IHATOVO」とは、宮澤賢治が物語の舞台として作り上げた、岩手をモチーフとした架空の理想郷の名前です。この本は、宮澤賢治の文章から得たイメージの断片を描き、それらを1冊に集約する事で、僕の見た宮澤賢治の世界を表現したい、そういう思いで生まれたものだったので、タイトルはこれ以外に考えられませんでした。読み方もイーハトーブ、イーハトーヴォ、イーハトーヴ、諸説ありますが、僕は井上ひさしさんの”イーハトーボの劇列車”の響きが好きだったので「IHATOVO・イーハトーボ」としました。

これから先、宮澤賢治の世界からイメージを与えられるかぎり、僕が絵筆を握れるうちはIHATOVOシリーズとして描き続けて刊行していければなあと思っています。もちろん出版してくれる出版社さんあっての話ですが、今はそんな風に考えています。

宮澤賢治の世界を描く。物語のはじまりも 終わりもない本。

IHATOVO（イーハトーボ）・01

宮澤賢治が物語の舞台として作り上げた架空の理想郷「イーハトーボ」。
童話や詩の中に現れる多種多様な世界の断片を、注目の画家junaidaがイメージ豊かに描き、瞬く星々のように輝く新しい宮澤賢治絵本が誕生しました。
収録作品は22編。抜粋した文章それぞれに、junaidaによる色とりどりの絵が合わさり、それらを1冊に集約することで、イーハトーボという名の宮澤賢治の世界が姿を現します。
今後、続々と刊行予定の「IHATOVO」シリーズ。本書はその記念すべき第1作となります。

オールカラー・56P・ハードカバー・サイズ：297×220mm
定価：2200円（税別）
サンリード刊
ISBN  978-4-914985-56-1

株式会社サンリード
〒520-0004　滋賀県大津市見世一丁目711-1　TEL077-526-7757

収録作品
・インドラの網・馬の頭巾・オツベルと象・蛙のゴム靴・風の又三郎・ガドルフの百合・銀河鉄道の夜・蜘蛛となめくじと狸・けだもの運動会・サガレンと八月・水仙月の四月・セロ弾きのゴーシュ・タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった・注文の多い料理店・注文の多い料理店 序・どんぐりと山猫・虹の絵具皿・春と修羅・ビジテリアン大祭・双子の星・ペンネンネンネンネン ネネムの伝記・ローマンス

※ 現在、Hedgehog Books and Galleryで開催中の「IHATOVO・01出版記念展」では、収録作品の原画展示、および一般書店での発売に先がけての先行販売を行っています。

詳しくはコチラ→Hedgehog Books and Gallery

junaida最新作、宮澤賢治の世界を描いた本「IHATOVO・01」がついに完成しました。
この本の構想はここ何年間かずっと自分の中で育ててきた大切なものだったので、「本」という、形ある物になって多くの人々と共有できる事を本当に嬉しく思っています。

今まで数多くの絵描きがその世界に魅了され、表現してきたように、僕にとっても、宮澤賢治ほど想像力を刺激される作家は他にはいません。彼の物語には言葉ひとつ、擬音ひとつで、イメージがあっちにでもこっちにでも、どんな方向へでも自由に拡がってゆける不思議な魅力で溢れていて、気づけばいつも彼の本を開いて、その心地よい世界に入り込んでしまう自分がいました。

この「IHATOVO」という本は、そんな宮澤賢治の童話や詩の中から、僕が「絵にしたい！」と思った箇所を抜粋した文章と、その絵で構成されています。
もしこの本を読んで、ひさしぶりに宮澤賢治読んでみようかなあ、と本棚に手を伸ばしてくれたり、この本をきっかけに、はじめて宮澤賢治を読んでみようって思う人がいてくれたなら、僕はどんなに嬉しいかわかりません。
そんな風に、宮澤賢治への尊敬と愛情をたくさん込めて描きました。

そしてそれらの作品たちを一堂に集めた原画展を、8月3日から9月8日まで、Hedgehog Books and Galleryで開催します。みなさまお誘い合わせの上、ぜひぜひご来場ください。

イーハトーボ・01 出版記念 原画展
宮澤賢治の世界を描く。物語のはじまりも 終わりもない本。

IHATOVO・01

・会場：Hedgehog Books and Gallery
・会期：8月3日（土曜）〜9月8日（日曜）
・営業時間：12：00〜19：00　※木曜定休

一般書店での発売に先がけ、会期初日より、Hedgehog店頭にて「IHATOVO・01」の先行販売を行います。

3月30日から5月5日までHedgehog Books and Galleryで開催されたNURIEBON展もおかげさまで無事に終了する事ができました。ご来場いただいた皆さん、どうもありがとうございました。
ちょうど始まったのが桜の季節で、終盤はGWにもかぶるという会期だった事も手伝ってか、遠方からもずいぶんと大勢足を運んで頂いたようでありがたいかぎりでした。

塗り絵で展覧会という企画は僕にとっては初めての試みでしたし、普段と違って色を塗っていない作品ばかりだから全部展示しても空間が白い！という事になかなか慣れずに、最初はなんともフワフワした心持ちでした。
けれどもご来場いただいた方々の様子を見ていたら、皆さんしっかり空想の世界に潜り込んで、自分なりの色世界を創って遊ぶ事をとても楽しんでくれていたようなので、伝わってるなあと実感できて、ほっと一安心でありました。

今までは、見て楽しむ、読んで楽しむ、というような絵を描いたり本を作ってきましたが、今回はそういった一方通行なだけじゃない、色を塗るという参加型の楽しみ方を試してみて、こういう形式でも色々できるもんだなあという発見もあって、僕自身とても楽しかったです。

NURIEBONをゲットしてくれた方はきっと今ごろ思い思いの色を塗ってくれてると思います。どんな感じに塗ってるのかなあ、なんてあれこれと空想しています。じゃんじゃか塗りまくって遊んでくださいね。

Hedgehogで5月5日まで開催中の展覧会「NURIEBON」では、メインとなる新作絵本NURIEBONの他にも2種類の新作グッズを発表しました。
ひとつめはこちら、小人のトリオのピンバッチ、その名も「KOBITRIO」。

ピンバッチは美術館のグッズコーナーや、旅先のお土産なんかでいつも気になって買ってしまうアイテムなんですが、一般的なあのピンだと、留め具がゆるくなったりで知らない間になくしてしまう事があります。それはもう悲しいのなんので大変に悔しい思いをしますので、今回KOBITRIOには”車ピン”というタイプの留め具を採用しました。これはピンを留めたあとにクルリとストッパーがかけられるものなので、とっても安心です。

このKOBITRIO、カバンに付けよか帽子に付けよか、どこに付けるのがいいかなぁと迷ったら、オススメはポケットのふちの所です。ポケットに限らなくてもよいのですが、ふちの所に付けると、ほら。

まるでポケットから小人が顔を出してるように見えて、しばし不思議な気持ちになります。近くで見ると小人たちですが、ちょっと離れると一見そうとは見えないデザインにしたのもポイントです。

そしてもうひとつご紹介するのが、たっぷりサイズのトートバッグ「THROW IN YOUR IMAGINATION」。

僕の描く絵によく登場する青白の市松模様みたいな柄を、なにか実際に手に取れる形にしたいなあと思い、プリント職人さんにあれこれワガママきいてもらいながら色んな所にこだわりを詰め込んで制作しました。
なんといってもポイントは、手刷りシルクスクリーンの黒白青金の4色にプラスして、フロッキー加工という、フェルトのような手触りの印刷を青色の部分にランダムに配置した所です。このフロッキーの部分は表面が薄く毛羽立っているので、光の当たり方や見る角度によって、実に色んな青色を見せてくれます。お天気のいい日なんかは本当に清々しい綺麗な青色になって気持ちが良いです。

そしてサイドに配置した真鍮のボタンをこんな感じで中央で留めると、

スマートな三角バッグになって、物をたくさん入れない時など服装や気分に合わせた楽しみ方もできるスグレモノなのであります。

タグも特製です。

パッケージはこんな感じに。

「想像力を放り込め」という意味を込めたタイトルのこのバッグ、日々のお出かけのお供に是非使ってもらいたいです。

どちらの商品もHedgehog Books and Galleryの店頭で販売中です。実際手にとって見てください。ご来場お待ちしております。
・Hedgehog Books and Gallery

※オンラインショップでの取り扱いは「NURIEBON」展の会期終了後、準備が整い次第開始する予定です。

junaida絵本最新作「NURIEBON」出版記念展開催

期間・2013年3月30日(土) 〜 5月5日(日)
時間・12：00〜19：00　木曜定休
会場・Hedgehog Books and Gallery

完成された絵画にはもう残っていない、完結している線画ともまた違う、色を塗るために描かれた線だけが持つ、未完成という閃き。

junaida最新作「NURIEBON」の出版を記念して春の特別展覧会を開催します。じつに2年ぶりとなる京都での展覧会。いつもとはなんだか一風変わった雰囲気になりそうです。
そう、今回は「塗り絵本」展なので、色の塗られていない原画たちがHedgehogのギャラリーにズラリと並びます。空想しだいでどこまでも広がっていく果てしない色の世界。あなたはどんな色を塗るのでしょう。

展覧会初日から会場のHedgehog店頭にて「NURIEBON」の販売を開始します。あわせて新作グッズも発表しますので、そちらもどうぞお楽しみに。

※オンラインショップでの販売は会期終了後、準備が整い次第開始予定です。

・Hedgehog Books and Gallery

NURIEBON ~Coloring Book~     junaida

210×297mm（A4サイズ）
64ページ
中表紙カラー・カバー/本文モノクロ
塗り絵部分には非塗工紙を使用しているので絵具などにも対応可能
Hedgehog Books 刊