春の特別展覧会TRAINとRAINとRAINBOW 終着駅到着


junaida春の特別展覧会TRAINとRAINとRAINBOW、おかげさまで5月8日に無事、終着駅に到着することができました。
今回のこのTRAINとRAINとRAINBOW号に乗って旅をするために、遠方からリアル乗り継ぎをくり返してはるばる京都まで来ていただいた方も沢山いらっしゃいました。ご来場、並びにご乗車いただいた皆さん、本当にどうもありがとうございました。

今回はなにかとひさびさ続きの展覧会で、まずひとつの連作で企画展というのも2006年のKiNG OF THE UNDERWORLD以来でしたし、音楽を展覧会用に制作したのなんかも2003年のStar Fruits Of My Viewぶりでしたので、一体どんな反応になるやらと内心ザワワしておりました。なので、会場で絵を観ながら密かに音のリズムに乗ってる人を見た時にはもう、ヤッタ。とちいさくガッツポーズをしておりました。
あと念願だったアコーディオン式の絵本を作れたのもとっても嬉しい事でありました。前にも書きましたが、なんだったらもうこの絵本が作りたいがためにこの展覧会を企画したくらいだったので、この言葉のない絵本を読んで、言葉や物語を想像している人を見た時にはもう、ヤッタ。とちいさくガッツポーズをしておりました。

みなさん本当にどうもありがとうございました。

普段僕は作品についてあまり多くを語らないように心掛けているのですが、今回はちょっとだけ語ろうかと思います。
このTRAINとRAINとRAINBOWの制作期間中には、震災というあまりにも大きな出来事がありました。
日々の暮らしの中ではもちろん、絵を描く上でも今まで感じたことのなかった感情を体験しました。何を描くべきか、そもそも何を描きたかったんだっけ?と急にわからなくなって筆が止まるというのも初めての経験でありました。10枚の連作のうち、最後の2枚はそんな中で描いたものでした。描くまでにとくにもがいた最後の1枚、TRAINとRAINとRAINBOW号の最後の車両は、テレビからの映像も含め、悲しみの景色しか見えなかったあの時に、自分が今、そしてこれから見たいと心から思った景色、日常というものをイメージして描きました。

けれどこの展覧会が始まってからも、そしてこうしている今もなお、まだ日常と呼ぶにはほど遠い現実の中で生活されている方がたくさんいらっしゃいます。絵や音楽というものは誰かの空腹を満たしたりするような事はできませんが、少なくとも展覧会場に来てくれた人たちにはなんというか、前へ前へと進む元気というか活力のようなものをひとつ持ち帰ってもらい、波紋のようにその力がどこまでも拡がってゆきますように、という思いを込めながら今回の展覧会を作りあげました。

展覧会が始まってから、絵を観たり音楽に身をゆだねたり、この空間を楽しんでくれているみなさんの顔を見に、時間はまちまちでしたがほぼ毎日会場へ行きました。みんなの笑い声や笑顔や物語を創る話し声から、逆に僕がたくさんの元気をもらいました。受け取ったこの力は必ずまた次の作品へと繋がっていくことが出来ます。そう、繋がっているんですね、もうあらゆる全てのことが。僕らはおんなじ汽車に乗って前進しているようなもんだなあって。そんな事を実感させてもらった、いろんな意味で忘れられない展覧会になりました。

ご来場いただいたみなさん、今回は来れなかったけど気にかけてくれていたみなさん、本当にどうもありがとうございました。また次回、お楽しみに。僕も楽しみにしています。